2010年05月12日

「思いやりを示すのに、どれだけ投資すべきか」



「インセンティブ / タイラー・コーエン 著」



 人が幸福感を感じるのは、どういう時でしょうか?


 手相占いなどで、「幸せになれる」と言われると、
「宝くじに当たるのかな?」という人がよくいます。


 宝くじに当たること = 幸せ


 ではないというのは、
 このブログをずっと読んでくれている人ならわかると思います。 


 人は、幸福を求めて行動します。


 人によっては、それは「安心」であったり、
「気持ちよさ」であったり、「刺激」であったりするでしょう。


 さて、そんな人を動かすのは、どうすればいいでしょうか?


「働く」というのは、ある意味、お金という報酬のための行為でしょう。
 人が動く、と書いて、「働く」と書きます。


 お金というものが、人を動かすものであるというのも
 間違った考えとは言えないでしょう。


 では、お金をたくさん渡せば、それだけ人は動くのでしょうか?


「安心」や「気持ちよさ」、「刺激」などは、
 お金があれば、得られるような気もします。


 お金を求めて、人は動くのでしょうか?



 そうともかぎらない、というこの本、


「インセンティブ」


 は、なんと経済学の立場から書かれたです。



 経済学といえば、

「需要と供給」

 に、代表されるように、

 お金が動けば、人がどう動くか、
 人が動けば、お金がどう動くか、

 など、お金と人の関係を考えるだけの学問だと思われがちです。


「経済ってそういうことだったのか会議」



 では、

 19世紀以降の経済学では、人間を、
 お金を払う苦痛と、お金で得られる満足だけを考える
「欲望のかたまり」のような存在としてとらえて、
 経済法則が確立されていった、


 というようなことが書かれていました。


 けれど、世界には、まだまだ貧しい国はあるものの、
 人間の根源的な欲望や、
 生活するためのテレビ、冷蔵庫、エアコンなどの
 基本的な欲求が満たされている一般社会では、

 人間の行動、特に、お金を使うための理由が、
 複雑になっているのは、間違いないでしょう。


 では、人を「行動」にかりたてるものは何か、といえば、


 それは、「インセンティブ」である、


 と、著者は言います。 


 例えば、この本では、映画俳優について書かれていますが、
 金額が自分の知名度、成功度を表す仕事の場合、

 お金そのものよりも、それで「一流になった」という気持ち、
 それが、インセンティブになります。

 
 時には、大きすぎる金額はプレッシャーになって、
 人を萎縮させたり、人に反感を持たれたりして、
 かえって、インセンティブにならない場合があります。


 時には、金銭的な報酬よりも、
「君がいてくれてよかった」というような一言が
 インセンティブになる場合もあります。

 

 このように、インセンティブというものを理解して、
 人にインセンティブを与えることによって、
「世界を動かそう」というのが、この本のコンセプトです。



 その他に、興味深いテーマとしては、

「シグナリング」

 というものがあります。

「コストのかかる選択をすることによってメッセージを伝える」行動、

 それが「シグナリング」です。


「気持ちを金額で表す」

 といえば、身も蓋もないでしょうか?

 お中元とかお歳暮にしても、「シグナリング」でしょうし、
「気持ちです」と言って、何か渡すのも「シグナリング」でしょう。



 こんなふうに、自分の行動をインセンティブという
 フィルターを通して見てみると、
 いろいろ、考えさせられる部分もあります。


 ちょっと長くて、表現に「ひねり」も多く、
 決して読みやすいとは、言い難い本ですが、


 自分のインセンティブは何か?


 と考えてみるのも、面白いと思います。








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posted by さきあきら at 02:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月12日

「フリーランチは存在しない」



「フリー経済学入門」苫米地英人著



 私は音楽を仕事にしていますが、気になるのは、

「CDが売れなくなってきている」

 ということです。



 You Tube に行けば、ほとんど聴けない曲はない、
 というほどに、それも動画付きであります。


 ファイル交換ソフトを使えば、
 ウィルスなどの危険はありますが、
 タダで音楽は手に入ります。

 正直な話、私もそれ使ってダウンロードすることもあります。



 つまり、「音楽にお金を払う」という感覚が、
 どんどん薄まってきているような気がします。


 音楽だけではなく、映画や文章などの著作物も、
 多くのモノがタダで手に入るようになっています。

 さらに、無料ゲームを始め、
 最近、やたらと「無料」という文字が目につきませんか?



 そんな中、

「フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略」


 という本が話題になっています。



「週刊 ダイヤモンド 2010年 3/13号」

 は、それを特集した雑誌ですが、その中に、
「フリー」から、こんな言葉が引用されてました。



「デジタルのものは遅かれ早かれ無料になる」

 そして、

「フリーはとまらない」



 つまり、データ化された音楽は、いずれすべて「無料」になってしまう、
 ということです。


 なぜ、無料になるのでしょうか?


 苫米地英人氏の「フリー経済学入門」では、
 そのへんの説明がうまくされていると思います。


 実は、この「フリー経済学入門」も出版前に、
 数量は限定ですが、「無料」で配布されました。

 今書いているこのレビューも、その無料版を読んでの感想です。

 条件は、「40字以内の感想文を書く」というものでしたが、
 特に、強制ではありません。

 その感想文のいつくかが「フリー経済学入門」の最後に載ります。

 自分の感想文の載った人はたぶん記念に買うでしょう。

(私も見ましたが、あまりの多さと細かさに、立ち読みで探すのを断念しました)


 つまり、これは「無料」を使った戦略だったわけです。



「フリー 〜無料からお金を生みだす新戦略〜」でも、

 発売と同時にインターネットで無料配布する、

 という「フリーミアム」の実践が行われました。



「それじゃ、元本が売れないのでは?」

 と考えることが、もう古い考えになろうとしています。



 売らないことで、売っていく。


 それが、これからいろいろな所で、特にこの不況の時代は、
 求められるようになる、ということになるんですね。

 こうして私もレビューを書いて、この本の存在を知らせていますからね。


 けれど、「タダより怖いモノはない」と言われるように、
「無料」の裏には、やはり戦略なり、策略があるわけです。


 その「怖さ」もこの本は指摘しています。

「無料(フリー)に自由(フリー)を奪われないように」

 読んでおくのもいい本である、と思います。





posted by さきあきら at 12:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月04日

「みんなで幸せになる方法、それが経済学の始まり」




経済ってそういうことだったのか会議  佐藤雅彦 竹中平蔵著



 経済、つまり、お金って、
 もともと、人と人とのつながり、
 物と物とのつながりをうまくいくように作られたものです。

 それが、いつの間にか、
 いろいろな問題を生むようになって、
 けれど人が生きる上で、幸せということを考えるのに、
 やはりお金は避けて通れないものになっています。

 私もずっとお金という問題を避けて生きてきたような気がします。


 みんなで幸せになる方法を探すこと。
 それが経済学の始まり。

 それを聞いて、経済を勉強してみよう、と決意した佐藤雅彦氏に感動しました。


 そして、その佐藤氏の質問に実にわかりやすく答える竹中平蔵氏。

 私はこの本で、経済学を勉強し直しました。

 実は、大学は経済学部卒だったんですが、
 読んでいて、そうなんだ〜 ということが、
 恥ずかしながら、山ほどありました。


 幸せになるためには「知る」ということは大事だと思います。






 
posted by さきあきら at 02:03| Comment(0) | 経済の本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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